明治大学フリーペーパー工房大内と申します
新型コロナウイルスの影響をもろに受け悶々とする日々を送る今日この頃です
これをご覧の皆様も、課外活動すら満足にできず悶々としてることとお見受けします。ですが、こんな状況下でも果敢に活動している団体があるのはご存知でしょうか?
本日は今年17年目を迎える、明治大学主催のシェイクスピア劇上演プロジェクト「明治大学シェイクスピアプロジェクト(通称MSP)」に、オンライン下の活動について質問を伺いました
お話を聞いたのは
MSPプロデューサー:吾妻春奈さん(文学部 二年)
制作部広報班リーダー:西村佳弥乃さん(情報コミュニケーション学部 二年)
・オンライン公演ってどうなるの……?
・こんな状況でまともに活動できてるの……?
など、個人的に気になっていた質問に答えていただきました!
「こんにちは、学生団体です。怖くないほうの」
大内 まずは知らない人もいるかと思うので、シェイクスピアプロジェクト(以下MSP)についてざっくりとした概要をお教えいただければと思います
吾妻 : はい!MSPは、日本最大規模を誇る学生演劇団体として活動しています
一応立ち位置としては明治大学主催の学校行事ということになってまして、駿河台キャンパスにあるアカデミーホールっていう1200人くらい入るホールで、毎年11月ごろにシェイクスピアの作品を上映するプロジェクトです
翻訳から始まり、舞台美術や企画のすべてをゼロから明大生主体で運営していて、毎年大体100人を超えるカンパニーメンバー(プロジェクトメンバー)で活動しています
毎年毎年カンパニーメンバーを一年公演が終わったら解散してまた新しくカンパニーメンバーを集めて、という風に毎年更新しながらやっているプロジェクトです
大内 : ありがとうございます!
カンパニーメンバーを一回一回変えるってことは、そのまま去年からの引継ぎでやってるわけじゃないってことですか?
吾妻 : あ、去年やってまた今年もやろうって人もたくさんいるんですけど、それと同じくらい新しく入る人も多いです。入学して入ってこられる人もいるし、4年生からの参加とかの方も多いので、毎年違ったメンバーで活動していますね
大内 : 学年関係なく集まっているんですね~
吾妻 : うちはサークルじゃなくて学生団体なので、どの学年からでも入れるのも魅力の一つですかね
大内 : あの……無知で申し訳ないなんですけど……
学生団体とサークルの活動って何が違うんですか?
吾妻 : んーと、やっぱり規模感は全然違うなという風に思います
比べるものじゃないですけど、演劇サークルも明治大学にはあるんですよ
でもやっぱり入れるお客さんの数とかもうほんとに……
MSPは去年5ステージ公演で4000人以上動員しましたしね
中々サークルでは借りることのできないような学校の施設をお借りして、かついろいろな協力をいただいてすごく大きい規模でやれるっていうのが、サークルとは違う“MSP”としての魅力かなと思います。
大内 : 多っ!3日間で4000人!?5公演で?
吾妻 : はい、4000人、5公演で
大内 : やっぱり明治大学がバックにいるからこそできることってことですね……!
所属してる人数も100人越えって感じでしたけど、男女比とか学年層はどんな感じなんですか?
吾妻 : 男女比も学年もそこまで偏りがあるわけではなくって、キャンパスなんかも全体的に散らばってる感じかなと思います
大内 : てっきり大部分の人が文学部のイメージだったんですけど意外ですね
吾妻 : ああもうぜんぜん、むしろ総合数理とか中野キャンパスとか別のキャンパスの人来られるとみんな「いぇい!」みたいな(笑)
大内 : フレンドリーでいいですね~
吾妻 : たしかに演劇っていうもの自体の敷居の高さってのはあるかなって思うんですけど私も元々演劇にかかわったことがなくて、大学入って演劇学専攻で「演劇やってみるか!」っていう感じだったので、MSP入るときも演劇のことなんかもう一ミリも知らなかったんです
でもなんか面白いことやってるな~って思って入ったのがきっかけだったので今この立場にいます
大内 : これは新発見……!“学生団体=厳しい”は偏見ですね
吾妻 : 怖くないですよ!(笑)
「去年観た人はビックリするかも」
大内 : それでは続いて公演についてお聞きしていきたいんですけれども、今回『じゃじゃ馬ならし』という題材を取り扱うということで、どのようなストーリーになっているんでしょうか
吾妻 : はい、えっと、難しいな……
イタリアのお金持ちの家に娘が二人いるんですけど、姉キャタリーナはめちゃめちゃ暴れん坊でじゃじゃ馬って呼ばれてて、反対に妹ビアンカの方はおとなしくてモテモテな女の子なんです。みんなかわいいかわいいって言って妹の方がすごい求婚されるんですね
けど、この二人のお父さんが、姉の方に旦那が見つかるまでは妹を嫁に出しませんって言っちゃって、求婚者たちがどうしようか、ってなってるところに二人の主人公の男の子“ルーセンショー”と“ペトルーチオ”がやってきて恋愛模様をかき乱していくっていうラブコメディです
大内 : 前回『ローマ英雄伝』だったじゃないですか。
正統派のお話というか、シリアスなテイストでしたけど今回はコメディ路線なんですね
吾妻 : そうですね、去年とかはもう完全に悲劇だったんですけど、今年は打って変わって喜劇になるので面白く楽しくっていう感じになってますね。多分去年観られた方が今年観るとびっくりすると思います
大内 : すごい雰囲気変わりましたけど、この題材って誰が決めてるんですか?
吾妻 : これはコーディネーターと呼ばれる文学部准教授の井上先生という方がいるんですけど、その方がいつも「来年はこれをやります」って。
そっから先が学生の仕事なので、題材を決めるのは先生ですね。
大内 : これも明治大学がバックにいるからこそ、ですね!
翻訳も先生自身が?
吾妻 : あ、いや、シェイクスピアが書いた原作を翻訳する、学生の翻訳団体コラプターズっていう部署があるんですよ。そこの部署ががっつり和訳してくれたものを使って上演台本を作ってますね
大内 : 翻訳部の方々の英語力半端ないですね……
吾妻 : そうなんですよ……
でも実は英語がそこまでできなくても大丈夫で、翻訳よりも“日本語にしてから細かいニュアンスをどう直していくか”っていうのコラプターズの肝かなと思います。
大内 : やってることを聞くとどうしても敷居が高そうに見えますけど、知れば知るほど優しい団体だなって
吾妻 : “やさしい”団体です(笑)
大内 : 今回結構コミカルチックな雰囲気になると思うんですけど、この世界観を演出する上で意識したことってありますか?
吾妻 : 喋りすぎるとネタバレになってしまうので抑えつつ……
一番注目してもらいたいのは、劇中劇っていう形をとってることですね
作品の中で劇をやってるっていう設定なんですよ。劇の中に劇があるっていう構造、この二重構造みたいなところを今回意識して演出しています!
こんな感じでネタバレに引っかからない程度に……
大内: 劇中劇!初見の人でも見やすそうですね
吾妻 : かわいい雰囲気というか喜劇なので、初めての人でも気軽に観れる内容だと思います!
「裏方の大切さを痛感します」
大内 : これだけ大きな作品だと部署の種類も多いんじゃないでしょうか?
吾妻 : そうですね、部署は全部で10種類あります
大内 : 10!多いですね~!
吾妻 : キャスト、楽器隊、演出助手部、照明部、音響部、衣裳部、舞台美術部、映像スチール部、制作部、コラプターズの10部署に加えてプロデューサーと演出、舞台監督補佐、とか……ほんと挙げるとキリがないんですけど部署的には一応10で
衣裳制作中の衣裳部の方々
大内 : 一舞台に関わる人数がすごすぎる……
吾妻 : 舞台って言っても役者が登る舞台だけでは成り立たないので、舞台っていう舞台に直接関わる部署ではないんですけど、どれも公演を作るにあたって必要な部署になってくるので。
これを学生で全部やるってなると10部署で活動するくらいの勢いですね。
すごくいろんなものからできてるんだなって私も痛感します、活動してて
大内 : それだけ多く部署があると偏ったりしないんですか?キャストとか花形ですし
吾妻 : それは、ない!ですね
その部署によってできることも違いますし、やりたいこともみんな違うと思います
まぁやっぱりキャストも人気で、みんなステージに上りたいっていうのはあると思うんですけど、それ以外の部署もやりたい、って言って入ってきてくれる人もたくさんいます
大内 : 本日は西村さんもいらっしゃいますので、ぜひ制作部について詳しく聞かせていただきたいです!
西村 : はい、わかりました。制作部は裏方の裏方っていうのがしっくりくると思うんですけど、主な活動は公演にあたってのすべての仕事ですね。
具体的には4班に分かれていて、パンフレットの制作に始まり、協賛の交渉、各種宣伝活動、当日の運営など……結構多岐にわたって活動しています
大内 : これだけでも制作部の苦労がしのばれますね……すごい……
吾妻 : うんうんうん
西村 : 私は今年制作部内の広報班のリーダーをやらせていただいているんですけど、平でやっていくよりかは責任を感じますし、その分やりがいもあります
大内 : 百点満点の回答ありがとうございます
西村 : いやとんでもないです(笑)
私的にはその分楽しく活動しています
大内 : ありがとうございます
裏方の大変さとやりがいがひしひしと伝わってきました
「メンバーあってこそのカンパニー」
大内 : 今年は残念ながらオンライン公演になってしまったじゃないですか
よくもやってくれましたよね、コロナ
吾妻 : いやほんとに……
大内 : 例年通りにできなかったところ、ありましたか?
吾妻: いや、もう、本当に例年通りにいかないことがほぼだったので。
一応17回の歴史があって、毎年毎年引き継がれてやってるんですけど、もう引き継ぎとか言ってる場合じゃない、ほんとに第1回くらいの気持ちでやってますね。
なんなら現在もずっと手探りでやってきてる感じです。
まあそもそも舞台ってやっぱり生のライブでやるということにすごく私は価値があると思っているんです、舞台とかライブ、コンサートとかってそうだと思うんですけど
その壁をどうやって乗り越えるか、お客様に楽しんでいただくか、届けるかというのはやっぱりどの部署でも同じように言えることだと思います
大内 : むしろ例年通りできたことってありましたか……?
吾妻 : もちろん「ほんとに全く引き継ぎがなかったら」と考えると多分成り立ってないので、引き継ぎがあってこその対応というか、例年積み重ねてきた基礎の部分があったっていうのは大きいかな、と思います
こういうオンラインの形になっても、このMSPという形を保っていられるのはこれまでがあったからだろうな、と強く感じております
大内 : 次の18回に向けてまた引き継ぎをしていかなきゃいけない、ってことですよね
吾妻 : まだ考えられないですけど……
大内 : 活動も基本キャンパスがメインだと思うので、実際に会えないとなると引継ぎどころの話じゃないと
吾妻 : そうですね、今年は活動で学校が使えないとなってしまったので、ミーティング系は全部zoomでやって作業は外部で場所を借りてやってるんですけど、人数をすごく減らしたりとかで対面での活動は減ってて……
引き継ぎとかもはや何?って感じです
まぁでもカンパニー内全体で集まる顔合わせが毎年あるんですけど、それもオンラインでやったので一応カンパニー全体で動いてはいます
ソーシャルディスタンスな活動風景
大内 : 空中分解されていなくてよかったです
吾妻 : やっぱりこういう状況下になって、動いているか動いていないかすらわからないってあるじゃないですか
中にはまだ東京に戻ってこれてない子とかもたくさんいるので、そうすると「自分参加してるけど活動してないな」っていう気持ちになってしまうのがちょっと嫌だなあ、と……
カンパニー全員でやるっていうのが薄れちゃうなあと思ったので、カンパニー全体でzoomやってみたりとか、各部署ごとで定期的にzoomで会議とか懇親会みたいなものをやってもらったりとかはそういうモチベーションの維持は大事にしてきましたね
大内 : こんな時だからこそ、人とのつながりを大切にしたいですよね
吾妻 : やっぱりカンパニーメンバーあってこそのカンパニーなので
「どうなっても上映します」
大内 : MSPも最初はオンライン化で結構苦労されてたそうですけど、うまく適応できましたか?
吾妻 : そうですね、毎日半歩ずつって感じで頑張ってます
足踏みはあっても後退はないですね
大内 : こんな大変な状況ですごいですね……!
僕らの団体もオンラインで1冊作ったんですけど、正直できなくはないんです、オンラインでも
ただ、オンラインだと「モチベーションが維持できずに停滞する」っていうのがよく見受けられますし、そこをつなぎとめるのはほんとに難しいことだと思うんですよ
これを団体として、それも大所帯でやってのけるのは本当にすごいと思います
吾妻 : 止まらないというか17回の歴史があって毎年必ず上演してるので絶対止まりたくないという気持ちが強かったです、意地でもどんな形でもやってやるっていう
1回ちょっと声明文みたいなものをTwitterの方とかで出したんですけど、「何があってもやります」という風に言ったので。「どうなっても上演します」って
大内 : 宣戦布告スタイルいいですね
吾妻 : 強気で
大内 : 覚悟ですよね
吾妻 : そうです、進むしかなくしました
大内 : ただ実際問題、覚悟とはいえ物理的な制限も、精神的な制限もあるじゃないですか
個人的に気になったのが舞台練習ですね、ソーシャルディスタンスがすごくうたわれていたじゃないですか。コロナ禍で役者さんの稽古だったりとかリハーサル、これって無事できました……?
吾妻 : 最初どうなることかと思って……
でもやらなければいけないので、ほんとに初めてのことなんですが自宅でオンライン稽古というものをずっとやっていて
筋トレとかエアロビ、シーンの練習とかそれも家でみんなでやるという(笑)
でもオンライン稽古と織り交ぜつつだんだん本格的にシーンをやらなきゃいけないので部屋を借りて全員集まることはほぼない状態でタイムテーブルとか組んで日程組んで、かつフェイスシールドとマスクをつけて稽古をしていましたね
フェイスガードをつけての稽古
大内 : ただでさえ忙しいのにさらに仕事が増えていくんですね
吾妻 : 演出助手部という部署が全部管理してやってくれるんですけど、めちゃめちゃでしたね、今年は
大内 : めちゃめちゃ……
吾妻 : すごいですよ、仕事バリバリです
大内 : ひぇっ
吾妻 : もうやるしかないという気持ちで全員やっていると思います
大内 : そのかいあってここまで公演にこぎつけられたってことですね
「みなさまの生活に彩りを」
大内 : 制作部はもちろん、各部署としても色々なお話はあると思うんですけど、プロデューサーの目から見て全体的にここが辛かった、キツかったというのがあればお聞きしたいです
吾妻 : 1番はやっぱりモチベーションを保つのが難しかったですかね
私個人としても難しかったし、多分みんなも難しいかな、と。
本当に全員で集まれるってことがないので、カンパニーとして動いているなという気持ちを繋いでいくのがやっぱり1番難しいし苦しかったな、と思います
大内 : 集まって決起集会的なこともできないし
吾妻 : 口では「みんなで1つになって頑張ろう」って言ったりするんですけど、正直会えないとなにやってるのかな、と。
私も家で普通に1人で作業してると「なにやってるんだろう」となってきたりすることもあるので、やっぱりカンパニーとして動くという気持ちを“ギュっ”とやるのが今年は大変だな、と
大内 : まとめる側の苦悩ですね
吾妻 : うーん、いや、みんな大変です
このプロジェクトじゃないところでも、大学生活でも大変だろうし
その中でもみんな集まってこうやってくれているのは本当にありがたいと思います
こんなところでみんなにお礼言うのもあれですけど(笑)
みんなありがとうっていう気持ちです
大内 : なんてハートフルな団体……!
最後に、これから観る人に向けて今年の公演について何か一言お願いします!
吾妻 : さっきも言ったように演劇というと敷居が高いな、とか踏み出しにくいな、というのがあると思うんですけど、今年オンラインになったことでどなたでもご覧いただけるので本当に気軽に観てほしいな、というのが1番の願いです
そして楽しく、面白く、可愛い最高の作品になっていると思いますので、みなさまの生活に少しでも彩りを添えられたらと思っています
私は出てこないですけど是非画面越しで会いましょう!
大内 : ありがとうございます!
『じゃじゃ馬ならし』は11月7、8日オンライン公演です!
最後に公演のお知らせです
○MSPから公演のお知らせ○
第17回明治大学シェイクスピアプロジェクト
『じゃじゃ馬ならし』
駆け出す恋の駆け引きは 見せかけだらけの賭けだらけ
街一番の“じゃじゃ馬”娘を、おしとやかなレディに変身させることは出来るのか?!
———17年目のMSPが問いかける、シェイクスピアのとっておき問題作!
〇公演概要・日程
2020年11月7日(土)17:00
8日(日)12:00
明治大学シェイクスピアプロジェクト公式YouTubeチャンネルにて無料配信
YouTubeチャンネルURL↓↓https://www.youtube.com/channel/UCYmLIaU99FW0ClXmPhq3MPg
※今年は完全無観客・配信のみの公演となります。
※予約不要
原作 W.シェイクスピア
翻訳 コラプターズ(学生翻訳チーム)
プロデューサー 吾妻春奈(文学部2年)
演出 新田みのり(文学部4年)
監修 西沢栄治(JAM SESSION)
主催 明治大学
後援 明治大学連合父母会 明治大学校友会 連合駿台会
〇SNS情報・お問合わせ先
Email:meijibunpro@gmail.com(制作部)
公式HP:http://www.isc.meiji.ac.jp/~bunpro/msp17th/
Twitter:@m_shakespeare
Instagram:meiji_shakespeare
ブログ:https://ameblo.jp/msp-meiji/
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